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2011年9月 2日 (金)

アフガンA 子 その4

アフガンA<br />
 子 その4
アフガンA<br />
 子 その4

A子ちゃんと過ごせる最後の1日。



せめて庭くらい歩けばいいのに…と思って、リードをちょいちょいと引いてみたが、やっぱり拒否だった。

その代わり、すっかりバルコニー内には慣れたようで、数日前から係留用リードの動ける範囲を広く伸ばしていたことに、やっと本人も気付いたらしく(遅いよ!)よく動き回っていた。


私がバルコニーに出ると、一瞬は定位置に逃げ戻るけど、しゃがんで「おいで」と言うと、小走りで駆け寄ってくれたりもした。



翌日、次の一時預かり先へ送り届ける為に車に乗せなければならない。
自分から乗り込むなんて奇跡は起こるはずないし、どうしたものか…。

相変わらず、リードを引っ張ると、慌てて隅っこに小さくなって逃げ込むし、どうにか首輪や胴輪を外そうと脱ぎにかかる…。



生まれてから、リードで引かれたことすら無さそうなので、仕方がない。



一度外れた事があるチョーカーだが、ずっと身体も頭も触らせてくれなかったので、付け替える事が出来なかったが、今なら頭をクシャクシャと撫でても平気になったので、違う首輪に付け替えておくことにした。

ちょっとビクッと「何するの!」って感じはあったけど、無事成功。


翌日の移動の際の反応は未知数だけど、何とかなるさと言うか私が頑張るしかないのだ。



A子ちゃんの夜泣きは少しは納まったが、早朝、目が覚めて一人で寂しいのか?4時半とか5時頃に鳴いてしまう。


30日も31日も早朝に鳴き出した。

バルコニーに出て付き合っていると落ち着いて、一時間くらいでまた眠りに付くのだが…。


家に入ってくれれば鳴かないのだろうか…。




午前中も少し鳴いたりしていた。
私を呼んでいるような鳴き方だった。

姿を見せると鳴き止み、消すと鳴き始める…。



庭で遊んでいる犬達をこの日は良く観察していた。

やはり仲間だと思うのか、シンディを呼んでクーンと鳴いたりしたが、シンディはつれない素振りだった。



出発の時間になり、いよいよ車への移動だ。

リードを優しく引いてみたが、やはり動けそうも無かった。


また暴れてしまうことも想定していたのに、Aちゃんはすんなりと抱っこさせてくれたので、そのまま車へと運んだ。



16日に連れて来る際に抱っこした感じからすると、2キロくらい体重が増えているような…。


いっぱい食べたもんね。

いいウンチをするようになったもんね。(笑)




車に入れられるケージは持っていないので、A子ちゃんは後部座席にそのまま乗せて、何かあると危ないからリードはヘッドレストに留めておいた。

少し動揺していたが、暴れたりパニックになったりはせずに、割りとおとなしく座っていた。



家に連れて来た時は、怖すぎて、外の景色を見ることすら出来なかったのだろう。


今回はちょっと余裕があるから、前後左右から見える色んな景色を目をまんまるにして、見つめていた。


停車中に横をすり抜けるバイクや自転車、歩行者には、その都度ビックリして慌てたりもしていた。




上信越自動車道を走りながら、こんなにも従順になってくれたAちゃんを思い、ちょっと泣けてきた。



あなたの気持ちがこの数日で急速に私に近づいてくれていたことには気付いていたけれど、もしパニックになってしまった時に、私一人では抑える自信が無かったから、極力嫌がる事はしないようにしていたけど…。


こんなに気持ちを変えていてくれたのなら、無理をしてでも夜中に鳴き続け、私も一緒に泣いてた時に、抱っこして家の中に連れて入れば良かったね。



あなたはあんなに汚い糞だらけの犬舎の中にいても、虚ろな目で人生を諦めたりしない、ボロボロの姿でも一生懸命抵抗を続ける、誇りを捨てないアフガンだったね。



私の手の傷も、もうすっかりかさぶたも取れてふさがった。
押したら痛い程度で、内出血で青黒かった手の甲もキレイに治ったよ。


Aちゃんの心が恐怖から落ち着いてきたように…。





ああ、私は何でAちゃんなんて安易な仮の名を付けてしまったのだろう…。

ジュリア・ロバーツにそっくりな美人さんなのに…。
ジュリアにしとけば良かった…。

しかもAちゃんは呼ばれると自分のことだと認識しちゃってるし…。



誰か、Aから始まる、もしくはエーから始まる素敵な名前を命名してあげて下さい!!




色んな事が頭の中を駆け巡りながら、東京方面に向かう、Aちゃんとのドライブでした。



泣きながら運転って、いつ以来だろう…。
恋愛沙汰では無かったことだけは確かだが…。

まぁ、そんなことはどうでも良い。(笑)





目的地に到着して、車から降ろす時、Aちゃんは自分から降りる素振りをした。

逃走しないようにと緊張したが、道路に降りてみたAちゃんは始めて犬舎から連れ出した時のように、ビビり過ぎて腰が抜けたように一歩も歩けなかった。



Aちゃんの気持ちがわかったので、預かり先であるドックトレーナーさん宅の、Aちゃん用に準備してもらった部屋の中まで、私が抱き抱えて連れて行った。

とりあえずサークルの中に入って、落ち着くのを待つ。

トレーナーさんと雑談を含め、色々と一時間程お話している内に、初めてのロングドライブに疲れていたのか、ウトウトとしはじめた。


「これなら大丈夫そうね」ということで、Aちゃんに別れを告げ、お宅を後にした…。

私がA子ちゃんの事に何故こんなに感傷的な文章になってしまったのかと今考えると…。

自分の責任がひどく中途半端であり、限られた期間しか一緒にいられないことが決まっていたからだ。

里親さんが見つかるまで…見つからなかったら自分が飼ってあげよう…という状況だったら、こんなにハラハラしなかったし、Aちゃんの様々な反応にも、「何とかなるさ、してみせる!」といつものように思えたのかもしれない。


まだ見ぬどこかから現れてくれる(ことを願う)新しい飼い主さんの大事な預かりものだから、緊張したのかもしれない。

私の対応一つが、Aちゃんを悪い方向へと導いたらどうしよう…。



Aちゃんが家庭犬になる為に乗り越えなくてはならない山がたくさん在りすぎて、私もAちゃんと一緒に混乱してしまった。



Aちゃんは決して凶暴な犬ではありません。

私を咬んでしまったけど、あの日のAちゃんにしてみたら、私は不法侵入者であり、身ぐるみを剥いだ上、誘拐、拉致監禁の犯罪者です。

私がAちゃんでも咬んじゃうよ。(笑)



ただ他の多くの保護犬のように、すべての要求が通らないことを知り尽くし、諦め、虚ろな目をして無抵抗だったりする…。

私が見た限りでは長野に残された3頭は、そうでは無かった。まだ強い意志を持っていた。

その違いだけなんです。


私の保護した時の配慮が足りなかっただけなんだと思うのです。

だからAちゃんには余計な辛い思いをさせてしまったな…と。



Aちゃんは生まれてから、良くも悪くも何の手も掛けて貰えず、死なない程度のエサだけを与えられ、散歩も外に出してもらう事もなく、2坪弱の犬舎の中とそこから見える風景だけがすべてでした。


だから小さな範囲の中にしか、今はテリトリーを作れません。


我が家のバルコニー内も8畳程の範囲は歩けるようになったけど、その先には行きたくても、一歩が踏み出せず、庭を眺めていたけど、出したとしてもへたり込んで一歩も歩けなかったでしょう。


もっともっと広い世界があるのに、彼女が自信を持って歩けるようになるのには、まだ時間がたくさんかかるかもしれません。


真実を書きました。

人を咬んでしまった事、里親探しの支障になるかと迷ったけど、すべてを受け入れて下さる方でないと無理だと思うから。

こんなAちゃんがこの先どんどん変わってゆく姿を(それが例え人間には都合の悪いイタズラだったとしても)楽しんでくれる方でないと無理だと思うので。



「こんなはずじゃ無かった…」と、安易な覚悟でAちゃんに辛い思いをさせたくないから…。




Aちゃんは、アフガンの性質を理解してくれて、キレイに飼って下さる素敵な飼い主に出会えたら、二年後には飛びきり美しいアフガンハウンドに生まれ変わると思います。


シンディが怒りそうだから内緒だけど、シンちゃんより美人だし、スタイルも抜群です。(笑)

ダイナもシンディも勝てないキレイなアフガンになれるよ。



そんな姿を見れることを祈って…。



また、そんな子に育ててみたいと思って下さる飼い主さんが現れてくれることを祈って…。



A子ちゃんは現在ドックトレーナーさんの元で1ヶ月の調整の後、状況を判断しながら里親さん募集になるようです。




Aちゃん、中途半端な私でゴメンね。

せっかく心を開きかけた途端にあなたを離すことになった私の事は恨んでくれても全然構わないから…、幸せを掴む為に色んな葛藤を乗り越えてね。



頑張れ! A子ちゃん!!
ジュリア!!(今更…(笑))

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コメント

Aちゃんだから、ANJELってどうですか?

辛い過酷な状況でも、諦めない心の強さって、やはりアフガンならではの気質なのでしょうか?
我が家には、とても飼えないけど…

きっと幸せになってくれる。
素敵な飼い主さんが現れてくれる。

2年後のAちゃんが楽しみです。

ゆみ姐、お疲れ様でした。

投稿: yuzumama | 2011年9月 3日 (土) 01時07分

yuzumamaさま

Aちゃんは、次の預かり先のトレーナーさんに「瑛」と改名してもらいました。

オヤツや美味しいモノでは釣れない犬なので、簡単ではないのでしょうね。

ジジとかだと、悲鳴上げながらでもオヤツはもらっちゃうんだけど…。(笑)


自分で良く考えて納得して…からでなくては、変われない。
そこを理解してもらえないと、サイトハウンドの大型犬は難しいのでしょうね。

イタグレとウィペットはそういう意味では全然サイトっぽくない。(爆)


でも、そういう性格が好きなんだからしょうがない。(笑)

瑛ちゃんは日々少しずつですが、変化を続けているようです。

投稿: ゆみ姐 | 2011年9月 5日 (月) 12時09分

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